美少女ことナミと過ごすようになって数時間。
ナミは先程から何かを確認するかのように何度もプールに入っている。
俺はというとプールの縁に座り込んで、尾羽根の先っぽをプールに浸して涼んでいた。
(さて、どうしよっかな)
さっきまで同じ部屋にいた三馬鹿とナミとの会話から察するに、どうやらナミも己の意思に反して無理やり連れてこられたようである。
囚われの身に甘んじるつもりはない様子なのでおそらく今も脱出するために突破口を探しているに違いない。
(ナミだけに行動させるわけにはいかないし、俺も何か出来ることをしなきゃだよな)
強かに床に打ち付けた身体も、ようやく痛みが薄らいできたみたいだし、もう動いても大丈夫な気がする。
「…あら、あなたもう大丈夫なの?」
プールから上がってきたナミが、身じろぐ俺に気付いて心配そうに声をかけてきた。
「まったくアイツら…あんなに力一杯叩き付けるだなんて何考えてんのかしら。信じらんない!」
憤慨している様子のナミに苦笑して、気にするなという意味を込めて「クオォ」と鳴く。
こんなに心配してくれるだなんて、優しい子だなー。
ナミはそれでも気遣わしげに俺を見てきたが、急に何かに気付いたように目を瞬かせた。
「そうだ…もしかしたらあなたの協力があれば脱出出来るかも…!」
俺をじっと見て、プールの方を見て、また俺を見るナミ。どんな内容かは分からないが、何らかの策が浮かんだようだ。
「クォ?(何すりゃいいの?)」
「…協力してくれるの?」
「クォ!(もちろん!)」
ナミの問いかけに頷いてみせれば、ナミは嬉しそうに「ありがとう」と笑った。
うんうん、やっぱ笑顔が一番だよね!
「じゃあ説明するわね?」
ナミの作戦は至ってシンプルだった。
王宮の外に繋がっているらしいプールを通って脱出する。ただそれだけ。
ただ、さすがに普通に泳いで脱出しようとすれば途中で呼吸が保たなくなるだろう。…そこで俺の出番というわけだ。
少なくともナミが泳ぐよりは早いだろうし、成功率はグッと上がる。
「…お願い出来るかしら」
「クォっ!(任せろ!)」
どんと胸を叩いて意思表示。
全力で泳いでみせますとも!
――そうして俺たちは監視の目を盗み、まんまと王宮から脱出したのであった。